おつまみ、スイーツのトッピング、肉料理…。小さな緑色のナッツはさまざまな場面で活躍するキッチンの強い味方です。
地中海沿岸や中東では、鶏肉やジビエの詰め物、肉料理のソース、ソーセージなどに広く使われるピスタチオ。フランスのフロマージュ・ド・テット、イタリアのモルタデッラ・ソーセージ、トルコのハルヴァやバクラヴァ、ギリシアのピラフ、アメリカのピスタチオサラダは、ピスタチオを使った料理や食材の代表格です。インドでは、挽き立てを米や野菜に加えて香りづけに。ケーキ作りでは、鮮やかな緑色(人工的に発色させている場合もあるのでご注意を!)と甘みの強いアーモンドのような味わい(苦みのあるアーモンドオイルを少量加えると甘みがさらに引き立ちます)が喜ばれ、ケーキを飾るクリーム、ペストリー、タルト、アイスクリーム、シロップ漬け、ヌガーなどにも使われます。
ピスタチオは地中海沿岸と中東の地域ではるか昔から栽培されてきました。聖書に登場するシバの女王は、ピスタチオを王家で独占する命令を出し、庶民が自分のために栽培することを禁じたという伝説もあるほど。現在の生産量はイラン、米国、トルコがトップ3で、中国、シリア、ギリシア、イタリアが続きます。収穫は8月から9月にかけて。独特の味わいを保ち、殻の変色を防ぐため、収穫したらすぐに乾燥させなければなりません。伝統的製法では天日干しにしますが、大量生産の場合は大型の機械で乾燥させます。乾燥させると殻が自然に裂け、中の実が見えるようになります。米国では殻が赤く着色されていることがよくありますが、これは品質や品種を表すのではなく、単に実の緑色を強調するためのものです。